2015年1月21日水曜日

第8回 「参火会」1月例会 (通算372回) 2015年1月20日(火) 実施

「昭和史研究の集い」第6回目「緒戦の勝利」昭和17年

進行役・谷内秀夫氏

「NHKの映像をもとにしたDVDの視聴」



(おもな内容)

マニラ占領、セレベス島上陸、ラバウル上陸開始、シンガポール占領、戦勝祝賀第1次国民大会、ジャワの蘭印(オランダ領インドネシア)軍と米・英連合軍が無条件降伏、バターン半島占領、コレヒドール島占領、海軍省が戦死した特別攻撃隊を「軍神」として発表、セイロン沖海戦、ビルマのラングーン占領、マンダレー占領、翼賛政治会結成、尾崎行雄不敬罪で起訴される、大日本翼賛壮年団結成、食塩などの配給制実施、大日本婦人会結成、日本文学報告会が「愛国百人一首」の選定発表、米陸軍B25が東京・神奈川・名古屋・神戸を初空襲、防衛総司令部が本土空襲後に中国へ着陸して拘束した米機搭乗員の処分を発表、ミッドウェー海戦で日本軍大敗北により戦局転換、米軍ガダルカナル島とツラギ島に上陸、第2次ソロモン海戦、ガダルカナルの争奪をめぐる南太平洋海戦、開戦1周年国民大会挙行……など。


「この時代の概要」

昭和16年12月8日、日本陸軍はイギリス領のマレー半島に上陸、海軍はハワイ真珠湾にあったアメリカ太平洋艦隊の戦艦群を潰滅させ、「太平洋戦争」が始まった。相手が準備不足だったこともあり、日本軍の作戦は計画通りに進み、怒涛の快進撃で南下をすすめ、半年後の昭和17年5月までに、ビルマ、マレー、インドネシア、フィリピンなどの南方諸地域を占領したばかりか、ニューギニアから南太平洋にいたるまで戦線を拡大し、「大東亜共栄圏」をつくりあげることに成功した。

しかし、これは一時的なものにすぎず、同年6月6日の「ミッドウェー海戦」で、アメリカ機動部隊の反撃にあい、連合艦隊の主力航空母艦(空母)4隻を失うなど、大敗北をきっした。これををきっかけに太平洋戦線の主導権が逆転することになる。

さらに8月7日、アメリカ軍は、反抗の第一歩として6万人を投入し、ソロモン諸島のガダルカナル島とツラギ島に上陸。この両島には、日本軍がハワイとオーストラリア間の輸送路を絶つため、約3万人の日本兵を投入していたところだった。この攻防は、翌昭和18年1月末まで激しく行われた。当初は互角の戦いだったものの、しだいに日本海軍は制空権と制海権を奪われ、陸軍も次々と送りこんだ兵に対する食糧などの補給方法がなくなり、最終的に兵力3万4000人のうち戦死者8200人以上、餓死者11000人以上、計2万人。これに対し、アメリカ兵の戦死はわずか1600人以下で、日本軍は同年2月初めに撤退した……。


DVDの視聴後に、熱心な話し合いがもたれた。

米ルーズベルト大統領が、日本が宣戦布告なく、真珠湾奇襲を行ったことを非難し、「このような卑怯な『ならず者国家』は潰滅しなくてはならない」と議会で演説し、上院・下院議員約500名のうち、1名が反対しただけで「宣戦布告」がなされ、世界中に報道された。さらに、日系人約12万人の財産を没収し、人里離れた内陸部や砂漠地帯に設けた12か所の「強制収容所」に閉じ込め、逃亡者を防ぐために有刺鉄線のフェンスで外部と完全に隔離したこと。のちに米政府は謝罪と賠償をしたものの、日本が「とんでもない国家」としてのイメージをアメリカ国民に植えつけ、愛国心を鼓舞したことは、日本にとって悔いが残される。

しかし、わずかの事務手続きが遅れたことで真珠湾奇襲後に、対米英蘭へ宣戦布告されたが、ルーズベルトにとっては、待ち望んでいたことだった。「暗号解読」によって、日本の宣戦布告を数時間前に知っており、ヨーロッパ戦線で戦うイギリスを助け、ヒトラーを倒したいと考えていたものの、その名目がなかったのが、「これで戦える」と決断したのだ。

このことから、「暗号解読」についてが話題となった。太平洋戦争がアメリカの圧倒的な物量によって敗れたといわれるが、日本が用いていた暗号は、戦前から戦争の全期間を通じて、ほとんど米国に解読されていたのが、最大の敗因ではないか。その中でも、攻防が逆転するきっかけになった「ミッドウェー海戦」が特筆される。アメリカ軍は、日本軍の作戦計画の全容を事前に知り尽くして待ち伏せをし、攻撃を加えた。猪突猛進する日本軍は、航空母艦4隻、重巡洋艦1隻が撃沈され、320機以上の航空機を失い、 とくに、熟練したパイロットや整備員など3500人もの兵を失って惨敗したことは、「暗号解読」に、決定的な差があったからではないかなど、興味深い話し合いが行われた。

~ ※ ~ ※ ~ ※ ~

後半の約20分間は、前回中途で終ってしまった、メンバーの反畑誠一氏に「著作権とユーチューブ」の話をしてもらった。著作権を侵害する映像は、禁止されているものの、世界中から発信されている数は、年間40億レビューにものぼる。そのため、よほど悪質なものでない限り、裁判ざたになることは、ほとんどない。ごく最近19歳の若者が、コンビニで売っているアンパンなどに楊枝をさした映像を次々にアップして逃げ回り、なんとか逮捕されたことが話題になったが、スマ―トフォンを持っていれば、だれもが簡単な操作で投稿できる時代であるといった話をうかがった。

また、年末の12月28日に、BS民放5局が共同で制作する年末年始恒例の特別番組『久米宏・未来への伝言~ニッポン100年物語』の第1夜「ベストセラー」が BS日テレで21:00~22:59に行われたが、「参火会」メンバーの植田康夫氏(元・新聞学科長)が社長をされている「週刊読書人」 で行われたこと。氏がベストセラー関連の著書(↓写真)を多く出版されていること、参考資料が豊富にあることで、事務所をスタジオ代わりに使用してくれないかとの要請に応えたとのことだった。氏も2度登場し、コメントを求められていた。



なお、JASRAC創立75周年記念として刊行された『うたのチカラ』(集英社刊)を、編著者の反畑誠一氏が4冊、「参火会」に寄贈してくださった。3冊を定価の80%でメンバー3名に購入してもらい、1冊は会員間で輪読することに決まり、購入資金は、参火会の今後の活動のための資金とさせてもらうことになった。(感謝)


「参加者」(五十音順・敬称略)

  • 岩崎学
  • 植田康夫
  • 草ヶ谷陽司
  • 郡山千里
  • 小林宏之
  • 酒井猛夫
  • 酒井義夫
  • 菅原勉
  • 竹内光
  • 谷内秀夫
  • 反畑誠一
  • 鴇澤武彦
  • 深澤雅子
  • 増田一也
  • 山本明夫