2019年7月17日水曜日

第56回「参火会」7月例会 (通算420回) 2019年7月16日(火) 実施

「世界遺産を考える集い」第17回目 「世界遺産 第2シリーズ」④ アジア・オセアニア Ⅱ-1 

4月から再スタートした「世界遺産第2シリーズ」(DVD10巻)は、2003年から数年間にわたってNHKがユネスコと共同しながら制作・放送してきたものを、小学館が地域別に再編集し「NHK世界遺産100」(1~5巻) 「NHK世界遺産100」(6~10巻) として刊行したものです。各巻20か所・計200か所を収録しています。第1シリーズ (本田技研の系列会社「ピーエスジー」制作の12巻) によるDVDと重複するものは約半分ありますが、重複するものは特に重要な世界遺産といっても過言ではありません。小学館版「NHK世界遺産100」は、各世界遺産へのアプローチの仕方に独自性があります。

会のはじまりは、下記資料「2-3-1~20」が事前にメンバーに渡され、全員がこれを読んだ上で、「NHK世界遺産100」第4巻目の映像約90分のうちの前半 (2-4-1~10) 約45分を視聴しました。




2-4-1   屋久島 既出1-12-7
自然遺産 鹿児島県 1993年登録 登録基準②③
◇ 屋久島は面積約500㎢(東京23区ほど)のほぼ円形の島。海岸部の年間降水量は平均4000㎜を超え、九州最高峰1935mの宮之浦岳はじめ1000m以上の山が30峰もあり、これらの山頂では年間降水量は1万㎜にも達する。植物は海岸から山頂まで急勾配で垂直に分布しているが、やせた土壌のため少しずつしか成長しない。樹齢1000年を超えるものが「屋久杉」と呼ばれ、なかでも「紀元杉」は樹齢3000年、「縄文杉」は樹齢7200年といわれる。

2-4-2   日光の寺社 既出1-11-6
文化遺産 栃木県 1999年登録 登録基準①④⑥
◇ 江戸の工芸や建築の粋をこらして建てられた日光の社寺は、人工美の極致といわれる。湿気の多い日光で木造の建築を守ってきたのは、漆と漆塗りの修復工程を忠実に守る職人たち。彩色職人の名人が、日光の彩色を語ってくれる。

2-4-3   姫路城 既出1-11-5
文化遺産 兵庫県 1993年登録 登録基準①④
◇ 白漆喰で仕上げられたことで、舞い立つ白鷺にたとえられて「白鷺城」の別名のある姫路城は、その優美さで日本の城郭建築の最高傑作といわれる。いっぽう江戸時代初期に築かれたこの城は、鉄砲や弓矢を放つ「狭間」や「石落とし」などの実戦的がほどこされた難攻不落の要塞でもあった。太平洋戦争末期の大空襲にもほぼ無傷で残ったものの経年劣化が激しかったことで、1956年から「昭和の大修理」と呼ばれる8年にわたる解体修理が行われ、名城は蘇った。

2-4-4   厳島神社 既出1-12-4
文化遺産 広島県 1996年登録 登録基準①②④⑥
◇ 古来から信仰の対象だった安芸の宮島(別名厳島)に、1168年に壮大な社殿が作られた。平清盛が平家一門の栄華を願って造営した厳島神社だ。島の緑を背景に、朱塗りの神殿が海にせり出し、海上神殿という世界でも稀な風景をつくりだしている。

2-4-5   秦の始皇帝陵(と兵馬俑坑) 既出1-6-6
文化遺産 中国 1987年登録 登録基準①③④⑥
◇ 西安の東部にある秦の始皇帝陵は、中国全土を統一した中国史上最初の皇帝の陵墓。そのかたわらで発見された驚異的な遺跡が「兵馬俑坑」だ。兵士や軍馬の像約8000体で構成された、始皇帝が黄泉の国を支配するために作り出した地下の大軍団といえる。

2-4-6   蘇州の古典庭園 既出1-6-7
文化遺産 中国 1997年登録2000年範囲拡大 登録基準①②③④⑤
◇ 長江下流の町蘇州には、明・清時代に官僚や文人たちが作った庭園が数多く残る。それらの一つで蘇州随一を誇る「拙政園」は、桃源郷伝説に基づいてつくられた庭園で、庭の主である文人は桃源郷に身を置き、詩を読んだり、絵を描いたりしながら隠遁生活を楽しんだ。

2-4-7   黄龍 既出1-6-13
自然遺産 中国 1992年登録 登録基準⑦
◇ 黄龍は、成都市の360㎞北にある雪宝山(5588m)を主峰に3000m以上の高地にある棚田のような池と青い水が美しい観光地。ここで最も不思議な所が693の湖沼からなる「五彩池」で、池が連なっているのに緑・黄・青・白・金と違う色が見えてくる。

2-4-8   麗江
文化遺産 中国 1997年登録 登録基準②④⑤
● 納西(ナシ)族の営みを今に伝える古都
中国南西部の雲南省北西部に位置する麗江は、万年雪をいただく5596mの玉龍雪山のふもと2400mの高地にある。12世紀末~13世紀初め、茶葉の交易のためにこの地を訪れたナシ族が建設して以来、800年もの歴史を持つ。世界遺産に登録されたのは、麗江の中心にある旧市街と白沙・束河の二村で、少数民族ナシ族が暮らしている地域。ナシ族はチベット・中国両文化を吸収し、トンパ文字という独特の象形文字を持っている。四方街と呼ばれる広場を中心とした旧市街は、石畳の道が網目のように広がり、水路がめぐらされ、その両側に瓦屋根2階建て木造家屋が軒を重ねる姿は、古い日本の街並みと似ているという。

2-4-9   雲南(保護地域)の三江併流(群)
自然遺産 中国 2003年登録 登録基準⑦⑧⑨⑩
● アジアを代表する3つの大河の源
「雲南(保護地域)の三江併流(群)」は、中国のチベット高原に源を有する3つの川、長江上流部の金沙(きんさ)江、メコン川上流部の瀾滄(らんそう)江、サルウィン川上流部の怒(ど)江が、長さ170㎞にわたって平行に流れ、14の保護された地域からなる。面積は4万㎢にもおよび、6000種もの植物や中国全土の1/4にも及ぶ700種以上の動物が生息し、チベット・リス・ナシ・スー族など16の少数民族が暮らす多民族居住地域でもある。巨大な龍のような川が、山を巻くように流れる様は自然に宿る神のような存在で、自然の恵みに感謝する暮らしが営まれている。

2-4-10 ボロブドゥール寺院 既出1-5-8
文化遺産 インドネシア 1991年登録 登録基準①②⑥
◇ 1814年、ジャワ島中部の密林でピラミッドのような大建造物が発見された。これが8~9世紀に建てられたボロブドゥールと呼ばれる奇抜で複雑に構成された仏教寺院だった。4面すべて最上階の大ストゥーバへ通じる階段があり、各層の階段入口には鬼や龍で装飾されたアーチ門がある。大乗仏教の宇宙観を表す「曼荼羅(まんだら)」、または仏教の世界観を表す「三界」(欲界・色界・無色界)など、さまざまな説が唱えられている。


後半は、メンバーの竹内光氏から、8月20日に行われる「納涼参火会」の説明(具体的には8月初旬に全員へ通知) が行われ、続いてメンバーの菅原勉氏が5月8日から「紺碧に輝くギリシャ・エーゲ海クルーズ10日間の旅」にでかけた体験を、70枚近い写真をスクリーンに投射しながらレポートしてくれました。その1か月前の4月に、ほぼ同じコースを体験した小田靖忠氏がサポートしてくれました。船の中に泊まる3泊4日のエーゲ海クルーズでは、全員が避難訓練をしたあと、まさに紺碧の海・海・海の感銘、充実した船内食堂・シアターなどの娯楽施設や宿泊施設、トルコに上陸して世界遺産「エフェス(エフェソス)」遺跡を見学したり、エーゲ海最大の島でエーゲ文明発祥の地「クレタ島」や、サントリーニ島に寄って首都アテネに帰着。世界遺産となっているパルテノン神殿を中心に古代ギリシャ建築の最高峰で、戦いと知恵の女神アテナに由来する神殿群「アクロポリス」やオリンピア観光。古代世界の中心とされ「世界のへそ」と呼ばれたアポロの神託で知られる世界遺産「デルフォイ遺跡」。崖の上の奇岩に建つ24の修道院のある世界遺産「メテオラ」など、まるで、全員がいっしょに旅をしているような、臨場感あふれるものでした。全員に代わり、両氏に感謝を申し上げます。
(文責 酒井義夫)


「参火会」7月例会 参加者
 (50音順・敬称略)


  • 小田靖忠  文新1966年卒
  • 郡山千里  文新1961年卒
  • 草ヶ谷陽司 文新1960年卒 
  • 酒井猛夫  外西1962年卒
  • 酒井義夫    文新1966年卒
  • 菅原 勉  文英1966年卒
  • 竹内 光  文新1962年卒
  • 谷内秀夫  文新1966年卒
  • 深澤雅子    文独1977年卒
  • 蕨南暢雄  文新1959年卒