2019年9月19日木曜日

第58回「参火会」9月例会 (通算422回) 2019年9月17日(火) 実施

「世界遺産を考える集い」第18回目 「世界遺産 第2シリーズ」④ アジア・オセアニア Ⅱ-2 

4月から再スタートした「世界遺産第2シリーズ」(DVD10巻)は、2003年から数年間にわたってNHKがユネスコと共同しながら制作・放送してきたものを、小学館が地域別に再編集し「NHK世界遺産100」(1~5巻) 「NHK世界遺産100」(6~10巻) として刊行したものです。各巻20か所・計200か所を収録しています。第1シリーズ (本田技研の系列会社「ピーエスジー」制作の12巻) によるDVDと重複するものは約半分ありますが、重複するものは特に重要な世界遺産といっても過言ではありません。小学館版「NHK世界遺産100」は、各世界遺産へのアプローチの仕方に独自性があります。

会のはじまりは、下記資料「2-3-1~20」がすでにメンバーに渡され、全員がこれを読んだ上で、「NHK世界遺産100」第4巻目の映像約90分のうちの後半 (2-4-11~20) 約45分を視聴しました。




2-4-11 フエの建造物群 既出1-6-3
文化遺産 ベトナム 1993年登録 登録基準③④
◇ ベトナム最後の王朝であるグエン朝は、ベトナム中部の首都フエに、中国北京の紫禁城を手本にした王宮を造営した。鳳凰が翼を広げ、舞い降りた姿を写したという美しい外観が注目された。ベトナム戦争で建物の多くが失われたが、皇帝の即位式が行われ政務を執った「太和殿」や王宮の正門は補修が加えられ、現在も豪華な姿を保っている。儀式に使われた宮廷音楽の音色は、生き残った楽師の執念が後世まで伝えて行く。

2-4-12 ハロン湾 既出1-6-4
自然遺産 ベトナム 1994年登録2000年範囲拡大 登録基準⑦⑧
◇ ベトナム随一の景勝地ハロン湾は、中国との国境近くに位置する。伝説によると、ベトナムが外国の船に攻め込まれたとき、龍が下りてきて無数の真珠を吐き出し、その真珠が島々になって敵を防いだという。石灰岩の島々が広がる幻想的な景観をもとめて、国内外から年間200万もの人々が訪れる。

2-4-13 (古都)ルアン・プラバン
文化遺産 ラオス 1995年登録 登録基準②④⑤
● ラオス初の統一国家ランサン王国の都
敬虔な仏教徒の町ルアン・プラバンは、メコン川とカーン川の合流地点に位置し、およそ東西2㎞南北1㎞の小さな町。1358年にラオ族のファゲーム王がラオス初の統一国家ランサン王国を築いて以来、ベトナムなどの侵略やフランス植民地時代を経ても、1975年まで王都だった。戒律の厳しい上座部仏教の聖地として80もの寺院が建てられ、現在も町の人口の1割近い1200人もの修行僧が暮らし、朝の修行の一つ托鉢僧の行列は、町の名物にもなっている。

2-4-14 チャンパサックのワット・プー
文化遺産 ラオス 2001年登録 登録基準③④⑥
● クメール人が築いたヒンドゥー教寺院の遺跡群
ラオス南部、タイとカンボジアの国境付近に位置するチャンパサックは、5~15世紀の約1000年間に繁栄した古代都市。元々は、チャム族の領地だったが、5世紀にクメール族の支配下に入り、聖山プー・カオの麓にカンボジアのアンコール地域と共通する性格のヒンドゥー教寺院のワット・プーを建立した。この遺跡で現存するのは7~12世紀に建造されたもので、13世紀になるとクメール族の力は衰退。代ってラオス文化が浸透して、14世紀以降は仏教寺院に衣替えして、今も村人たちの信仰を集めている。

2-4-15 スコタイと周辺の歴史地区 既出1-5-10 
文化遺産 タイ 1991年登録 登録基準①③
◇ 13世紀、タイの首都バンコクから北へ約450kmの位置にあるスコタイにタイ民族初の統一国家スコタイ朝が興った。王朝は仏教を手厚く保護したことで数多くの寺院が今も残る。仏教国タイの心のふるさとともいえるスコタイには、天から下り自ら民衆に歩み寄るタイ独自の仏「遊行仏」が誕生した。ワット・マハタ―トは、スコタイ最大の王宮寺院で、200m四方の境内に、18の聖堂と200以上の塔が立ち並ぶ。

2-4-16 バン・チェン遺跡
文化遺産 タイ 1992年登録 登録基準③
● 東南アジアの先史時代を語る考古遺跡
タイ北東部に位置するコラート高原一帯にあるバン・チェン遺跡は、1966年にアメリカ人学生が土器の破片を見つけたことから、古代文明発見のきっかけとなった。1971年に本格的な調査が行われ、土器などの測定から、中国やインドの影響を受けない独自の文明の存在が確認された。バン・チェン文化は、紀元前1500年~後300年頃との説が有力。

2-4-17 インドの山岳鉄道群 (旧・ダージリン・ヒマラヤ鉄道)
文化遺産 インド 1999年登録/2005・08年範囲拡大 登録基準②④
● インドにおける鉄道事業の基礎をつくった3つの山岳鉄道
1999年にダージリン・ヒマラヤ鉄道が登録され、2005年にニルギリ鉄道、2008年にカールカ・シムラー鉄道が追加登録された。ダージリン・ヒマラヤ鉄道の開通は1881年で世界最古の山岳鉄道。2両の客車を牽引する蒸気機関車は標高差2000mを8時間かけて走る。1926年製造の機関車は丁寧に整備され、いまだに現役で走る。

2-4-18 ペルセポリス
文化遺産 イラン 1979年登録 登録基準①③⑥
● アケメネス朝ぺルシアの繁栄を象徴する都
イラン南部の丘陵地にあるペルセポリスは、紀元前6~4世紀にオリエント全土を統一して大帝国を築いたアケメネス朝ペルシアの王都で、ダイオス1世の命により、紀元前520年から60年をかけて建造された。繁栄をきわめたペルシア帝国だが、やがてギリシャと衝突した。紀元前330年にはマケドニアのアレクサンドル大王軍の総攻撃を受け、栄華を誇った王宮も炎に包まれて廃墟と化してしまった。現在は、あちこちに残るレリーフが往時の繁栄ぶりを伝える。

2-4-19 エルサレム旧市街地と城壁
文化遺産 イスラエル(ヨルダンの申請) 1981年登録/1982年危機遺産 登録基準②③⑥
● 紛争の舞台となった3宗教の聖地
エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの聖地。ユダヤ教の聖地はソロモン王の神殿の一部と「嘆きの壁」、キリスト教の聖地はイエスが十字架にかけられたゴルゴダの丘に建つ「聖墳墓教会聖堂」、イスラム教の聖地はムハンマドが天界に旅だった聖なる岩を守る「岩のドーム」。現在、ほぼ1㎞四方の旧市街は、16世紀のオスマン帝国時代に築かれた城壁に囲まれ、ユダヤ教徒地区、キリスト教徒地区、イスラム教徒地区、アルメニア人地区の4つに大きく分かれている。しかし、パレスチナとイスラエルの紛争に加え、急激な都市開発の進行、観光被害、維持管理費の不足などを理由に、1982年に危機遺産リストに登録されたままにある。

2-4-20 タスマニア原生地帯
複合遺産 オーストラリア 1982年登録/1989年範囲拡大 登録基準③④⑥⑦⑧⑨⑩
● 太古の自然を残す未開の島
オーストラリア大陸から海に隔てられ、原生林には太古の森の面影の残るタスマニア島の南西部にある5つの国立公園を含む1万3836㎢が登録地区。原始的な動物も生き残り、独自の進化を遂げてきた。ハリモグラ、カモノハシ、タスマニアデビルなどの他、海底にはウミエラなど驚くべき野性の世界が広がっている。ナンキョクブナを中心とした冷温帯性雨林が広がり、ヒューオンパインや高木ユーカリなど島固有の植物も多い。


会の後半は、メンバーの山本明夫氏が、数か月前にツァーに参加した「ネパール9日間の旅」を、たくさんの写真や動画をスクリーンに投射しながら、体験レポートをしてくれました。
この旅の最大の目的は、世界最高峰のエベレスト(8848m)を、遊覧飛行機から間近に見ることでした。カトマンズ空港からの飛行機が飛ぶチャンスは3度あったそうですが、1回目は飛行機内に4時間待機するものの天候不良のため出発できず、2度目も天候が回復せず、最終日になんとか40人乗りの3機が待機。ついに3機目に乗れ、乗客40人が交代でコックピットに招かれて、エベレストを間近に目にするという念願がかなえられました。
その他、ナガルコットのホテル屋上からの360度四方のすばらしいヒマラヤ展望を体験し、チトワン国立公園内のサファリでは、尾長ザル、3mもの孔雀、一角サイ、10mもあるワニなどを間近で観察、ポカラではノートラの丘からヒマラヤの夕暮を楽しみました。最終日のエベレスト遊覧飛行後の夕食は、ヒマラヤソバを食べながら、ネパール民俗舞踊ショーを観賞し、満足のゆく旅を終えたそうです。
(文責・酒井義夫)


「参火会」9月例会 参加者
 (50音順・敬称略)


  • 小田靖忠  文新1966年卒
  • 草ヶ谷陽司 文新1960年卒
  • 郡山千里  文新1961年卒
  • 酒井義夫  文新1966年卒
  • 酒井猛夫  外西1962年卒
  • 菅原 勉  文英1966年卒
  • 竹内 光  文新1962年卒
  • 谷内秀夫  文新1966年卒
  • 反畑誠一  文新1960年卒
  • 深澤雅子   文独1977年卒
  • 向井昌子  文英1966年卒
  • 山本明夫  文新1971年卒
  • 蕨南暢雄  文新1959年卒

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